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会社とともに成長する自分


私が株式会社Brain Trust from The Sunに入社したのは、創業期の2012年です。以前にいた不動産会社で賃貸営業をするなかで、管理業務主任者の資格を取得するための時間がほしいと考え、パートタイムで働ける不動産関連の職場があればと思ってハローワークで検索したところ、創業間もない弊社の求人にたどり着きました。実際に入社して必要書類の作成や事務方の作業をしながら、そのための勉強をさせていただいたのは幸運でした。

私はもともと、料理人になりたいと思っていました。父が営むフグの料亭を継ぐつもりだったからです。しかし父の商売がうまくいかなくなったのと、店舗があった自社ビルの老朽化が進んで立て直しが必要になったことから、父は料亭をたたむ決断をしたんですね。私が15歳のときです。その後、父はそのビルの賃貸経営をするようになったので、私もゆくゆくは不動産の世界に進むべきだと考えるようになりました。

ただ、それでも料理人の夢をあきらめきれず、20代前半までは飲食業界で働いていました。宅建の免許を取得したのは24歳のとき。それ以降、不動産業界でキャリアを積んでいます。

私はこの会社の創業メンバーとして、社長とともに会社の変遷を間近で見てきました。創業期は不動産コンサルティングの業務が中心でしたが、東日本大震災のあとに太陽光発電のニーズが伸び、弊社でも太陽光発電の売電事業や分譲に本格的に取り組むことに。いわゆる「太陽光バブル」の恩恵を受け、大きく収益が伸びました。また、最近ではソーラーシェアリングや農泊関連事業にも力を入れるなど徐々に組織として成長しており、私自身も大きなやりがいを感じています。

この会社に勤めるなかで率直に感じるのは、どんなに資格を取得していても実務経験がなければ意味がないということ。もちろん資格取得は素晴らしいことですが、それを実務に生かすのは非常に難しいことだと感じています。大切なのはむしろ、クライアントや関係者の方々とコミュニケーションを図りながら実務に触れ、対人能力や人間力を高めること。その部分では私自身、一般企業ではなかなかできない貴重な経験を通じて大きく成長できたと感じています。ちなみにいま役立っている資格は宅建で、管理業務主任者のほうはほぼ生かせていない状態です。

私の今の仕事は、基本的には社長が新しく始める事業のサポートが中心です。貸会議室の運営管理や助成金の申請、各物件の管理など内容は様々。貸し会議室の運営は弊社の川端と、補助金に関しては顧問の社労士と一緒に進めています。

仕事を進めるうえで大変なのは、過去に前例がないような事業が多いこと。すでに社会に浸透しているビジネスであれば、不明な点があったら母体となる機関に相談したり確認すれば完結できますが、新しい事業をするには一つ一つの確認事項に時間がかかり、どこに相談したらいいのかさえ分からないケースも少なくありません。不慣れなことをするという点において、やはり大変さは感じます。

そうやって時間をかけて新事業のための書類を作成したとしても、社長が「やっぱり別の案で進めよう」と方針変更することも結構あるので、その辺に関してもスタッフが苦労する部分かもしれません(笑)。もちろん、社長のなかで変更したほうがより良いものになるという結論が出ていて、実際に社長の判断は間違っていないことがほとんどなので、その点については信頼しています。

それにベンチャー企業だからこそいろいろな経験ができ、そのぶん成長できるのは大きなメリットです。新規事業にチャレンジするということは、そのための知識と、挑戦したことよる経験が同時に得られるわけですからね。

今までの仕事で印象に残っているのは、私が入社して最初に関わった3階建てのデザイナーズマンションの案件です。ある地主から建て替えの案件を頂いたのですが、年配者ということもあってその費用を全て借りるのが難しく、ならば賃貸併用という形で銀行側に提案したところ、何とか融資をもらうことができたのです。ただ、賃貸併用となると入居者を募集する必要がありますから、集客を考えると遅くとも翌年2月までには竣工したい。しかしデザイナーズ物件で建築家のこだわりが強く、着工は8月でしたが予定通りになかなか進みません。例えば建設途中に建築家の方から「壁紙はクロスじゃなくて漆喰にしたい」といった提案があり、その対応や折衝に時間をとられてしまうといった具合です。

とはいえ、入居者を募集するには賃貸の広告を出すしかありません。工期が間に合うかどうか分からないなか、竣工までに10部屋中8部屋の入居が決まったのです。結局、入居予定日までに建物自体は何とか完成したものの、外構が未完成の状態でした。入居者の方には真摯に謝罪し、粗品をお渡ししたことを覚えています。綱渡りのような状態でしたが、最終的にクライアントから感謝の言葉を頂けたときは心から安堵しましたね。

ソーラーシェアリングの普及に向けて

現在、私は母体のBrain Trust from The Sunを離れ、ソーラーシェアリング事業を担うグループ会社SUNLIT合同会社で働いています。ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立てて上部に太陽光発電パネルを設置することで農業と発電事業を同時に行うこと。いわば「農業」と「太陽光発電」のハイブリッドの取り組みで、耕作放棄地の問題を解決したいとの思いで活動しています。

もともとは弊社で太陽光発電の分譲していた2013年頃、Webサイトを通じて農業関係者から「うちの畑を太陽光発電所として借りてもらえませんか」といった内容の問い合わせをたくさんいただいたことが始まりでした。しかし日本では農地を守るための法律が非常に厳しくて、既存の農地を農地以外の用途として使う場合には農地転用の手続きを踏む必要があります。良好な営農条件を備えている「第一種農地」は農地転用できず、それが可能になるのは市街地として発展する可能性がある農地や、農業公共投資の対象外となる比較的生産力の低い「第二種農地」のみ。実際に農家の跡取りから「農業を継ぐつもりはないので、一種農地を転用して太陽光発電所を経営したい」といった問い合わせを多くいただき、その件について市役所の農地委員会に相談してみましたが、当時は「農地転用は認められない」という回答がほとんどでした。

こうしたケースの場合、親せきや近隣に農家がいて引き取ってもらえればいいですが、そうならないことも多々あり、耕作放棄地は年々増え続けているのが現状です。その解決策として一種農地でも太陽光発電所の支柱のみ一時的に農地転用をするというソーラーシェアリングの手法に行きつき、まずは茨城県神栖市に自社のソーラーシェアリング施設の建設に着手しました。それが2017年のことです。

今ではだいぶソーラーシェアリングという言葉が浸透してきましたが、当時はまだ認知度が低く、大川は資金調達に関して非常に苦労していました。そうしたなかで取引先から千葉エコ・エネルギー株式会社代表の馬上丈司さんを紹介していただき、馬上社長から城南信用金庫顧問の吉原毅さんをご紹介いただいたご縁で資金調達が可能になったことから、自社でソーラーシェアリング施設を所有することができました。

2018年には株式会社Brain Trust from The Sunと、千葉エコ・エネルギー株式会社で、JV「エコトラスト合同会社」を設立しました。これに併せてBrain Trust from The Sunは、保有するソーラーシェアリング設備によって発電した電気を2018年2月1日より清水建設株式会社に供給しております。一方で私が勤めるSUNLIT(同)は認定農業者として営農を担当しています。

千葉エコ・エネルギー代表の馬上丈司さんはソーラーシェアリングの第一人者で、ソーラーシェアリング導入への規制を緩和するよう経産省に掛け合っているそうです。こうした有識者の後押しもあり、取り巻く環境は少しずついい方向に変化していくのではないでしょうか。売電価格のバランスなど様々な問題はありますが、基本的に国は、社会問題の解決につながるソーラーシェアリングは増やしていく方向であると考えています。

しかし実際問題として、ソーラーシェアリングは多大な設備費用がネックとなり、なかなか普及していないのが実情です。農家からすると導入資金の工面の問題に直面し、結局はソーラーシェアリングの導入に二の足を踏むケースは少なくありません。

ソーラーシェアリングの現状として、今のように電気の購入価格が売電価格よりも高くなった状況ですと、ビニールハウスの農家ならば発電した電力をそのまま農業に使うほうが経済的メリットはあります。

来年からは自社のソーラーシェアリング施設でブルーベリーの栽培を行います。世の中にもっとソーラーシェアリングが広まってくれると、相談できる仲間が増えるので私としては嬉しいです。

トランスジェンダーとして思うこと

最後に、私はトランスジェンダー(性同一性障害)です。戸籍の性別は女性ですが心は男性で、体を手術すれば戸籍上も男性に変更できるという状態です。

LGBTという言葉が浸透したいまでは社会的な受け入れも進み、新たに「LGBTQ」という言葉なども生まれています。最後のQはクエスチョンを意味し、自分の性別が分からない人や意図的に決めていない人、模索中である人のことを指します。しかしほんの10年くらい前まではLGBTという言葉自体がなく、我々のようなトランスジェンダーが生きづらい社会でもありました。

LGBTを構成するレズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーというカテゴリ自体もあいまいで、だからこそ一般認識もしづらかったのだと思います。要するにそれらがしっかりカテゴライズされていなかったので、当事者からしても正直、自分がどういう存在なのかが分かっていませんでした。

実際に私がこの件について病院に相談に行ったとき、性同一性障害という精神鑑定書をもらったこともあります。だけど精神病のように扱われてしまうと、周囲の人たちや勤務する会社に言いづらい。私は今の会社に入るまで、そんな肩身の狭い思いを経験してきました。

ちなみにLGBTのなかで、最も所得の低いのがトランスジェンダーだそうです。原因は明確になっていませんが、「自分は病気なのかもしれない」という意識が、その結果につながっているのではないかと私は推察しています。

私がBrain Trust from The Sunに入社したとき、トランスジェンダーであることは社長に伝えていませんでした。もちろん履歴書上では女性なので、社長は「ちょっとボーイッシュな女性なんだな」というくらいにしか思っていなかったのではないでしょうか。

入社後に色々とプライベートな話もさせていただくなかで、社長に「男性ホルモンの注射を打って乳房切除術をし終えており、今後は子宮や卵巣の摘出をしたい」という話をしたら、「ああ、そうなんだ」という感じで何の問題もなくあっさり受け入れてくれました。その社長の大らかさがあったからこそ、今日まで働けているのだと思います。

それから約8年が過ぎたいま、LGBTに追い風が吹いています。例えば外資系の企業では、LGBTの雇用は経済活動をするうえでプラスに作用するという風潮が生まれ、LGBTを積極的に採用する企業も出てきています。

代々木公園周辺で毎年行なわれる、LGBTが差別や偏見にさらされず前向きに生活できる社会の実現を目指すイベント「東京レインボープライド」は年々規模が大きくなり、参加者は初回の2012年が4500人だったのに対し、2019年は20万人を超えたそうです。アメリカではこうしたLGBTのイベントに協賛することが、企業イメージの向上にもつながっています。

いまでは、例えば性同一障害に関する講演会での登壇など、LGBTならではの仕事も生まれています。僕らからすると、10年前では考えられないことが次々に起きているという感覚ですね。

その意味では今後、LGBTに特化した不動産賃貸・売買のスタイルもあり得ると考えています。例えばLGBTの人がパートナーと住む物件を探すにあたり、同じくLGBTのスタッフが仲介をしたほうがスムーズに進められるはずですよね。今は歌舞伎町に水商売専門の不動産会社もあるくらいですから、時代のニーズに合わせて新しいビジネスを展開できればと思います。

私はLGBTだからという理由で採用されたわけではありません。ただ、弊社のスタッフはほかにも70歳を超えるシニアや2児の母がいます。あらゆる人を受け入れる多様性が、この会社の特徴と言えるかもしれません。トランスジェンダーの私にとって、今の環境はとても恵まれていると感じています。

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